TREの振動の種類と広がり方、プロバイダーは何をする人?


この記事を書いた人

たじりなおこ

TRE(トラウマ&ストレス解放エクササイズ)で長年の悩みを解消できた経験から「TREをもっと広めたい!」という想いで活動中。2019年国際認定プロバイダー、2024年アドバンスプロバイダー取得。20代半ばからセラピストとして約7年間、解剖学に基づくメディカルマッサージ、フォーカシングをベースにしたカウンセリングを提供。2児の母。TREで健やかな毎日を♡ 
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←前回の記事  「 TREのこと、あれこれ連載① TREの振動の特徴と有用性」

~TREのこと、あれこれ連載②~

前回の記事の続きです。

では実際にTREでどのような震えや振動が出てくるのかお話したいと思います。

TREは7つの体の部位に負荷をかけるエクササイズをした後、基本的には仰向けで床に寝て、膝を立てた状態から始めていきます。

このような姿勢です↓

振動の種類と効果の感じ方

振動を種類分けすることにあまり意味はないのですが、TREをまだ体験されたことがない方にどんなバリエーションがあるのか知っていただけると、実際に体験したときに「おお、これか~」と感じてもらいやすのではないかと思うので、4つの振動について紹介したいと思います。別々の振動や動きとして出ることもありますが、折り重なるように出るようになります。

大きな振動・動き

脚がブルブルと動いたり膝が左右に倒れるような動き、体を大きく揺らすような動き、腕や頭の大きな動き、など。他の人から見ても、明らかに動いているのがわかります。

細かい振動

スマホのバイブレーションのような振動です。規則的で細かい振動が、筋肉の表面で起きているのが目でも確認することができます。意識的に起こせるような振動ではないので不思議な感覚だと感想を述べる方もいらっしゃいます。

微細な振動

体の内側で感じることが多い、泡のような振動です。一説によると筋膜に振動が通っているときにこのように感じるようです。振動を止めた後に感じることがあるかもしれません。本人は感じますが、他の人からは目で確認することができません。

筋膜ストレッチ

TREが熟達してくると現れてくることが多いです。腕や脚、体幹をストレッチをするようなゆっくりとした伸びの動きです。場合によってはあごや手の指だけなど細かい部分がストレッチされることもあります。

YoutubeのTREの動画などをご覧になって「あれくらい大きな振動が出なければ意味がないのかな?」もしくは「振動をださなくちゃ!」と考えてしまう方も多いのですが、振動は自然と体の内側から湧いてくるものです。

どのような振動であれ、今のあなたが体験している振動が最適です(少し手を加えたり、意識の向けるところを変えるだけで振動の変化は起きますが、これも自然な流れでそうなっていきます)。振動の大小と効果の感じ方とは関係がありませんので、思い描くような振動が出ていなくてもそのままの振動を受け入れてリラックスして感じていくことが大切です。

試しに、TRE歴6年目のわたしのある日の振動の動画を載せたいと思います。解説を少し加えてみました。振動は日によって違いますし、ひとりひとり個性が出るので、このような振動が理想!ということでは全くありません。こんな風に動くようになるかもしれないんだなぁ~程度の気軽な気持ちでご覧ください。本来は15分程度振動を出すのですが、5分くらいのショートバージョンです。ちなみに、自分で体の震えや動きを出しているわけではなく、体から自然と出てきています。

振動の広がりとプロバイダーの役割

振動の様子はいかがだったでしょうか?

実はわたしはTREを初めて体験した日から、腕や首までブンブンと動いたほど体が動きやすい方なのですが、一般的にはこのように全身が動くようになるまでに数か月~数年かかる場合もあります。

グループセッションに初めて参加される7~8割の方は、腰から下、主にふくらはぎ・太ももの振動を感じることが主になります。その後、ご自分のペースで続けていただくことで、少しずつ腰からお腹、背中、胸…と体の上半身へ振動が広がっていきます。

振動が全身に広がることで、緊張が緩んだり、神経ネットワークの調整などが行われていきます。ただ、TREのおもしろいところは、たとえ振動が下半身だけだったとしても、振動後に肩が楽になっているなんていうこともよくあります。振動を感じられた部分だけに作用してるわけではないんですね。

身体感覚に意識を向ける体験(ヨガやボディワークなど)を多くしてきた方は、振動の広がりが早い傾向にるように感じています。振動中に考えすぎて頭がカチカチになっていると、体も緊張して振動も広がりにくいこともありますので、リラックスして振動を楽しむことも大切です。普段見過ごしがちな「身体感覚」に意識を向ける時間にしてみてくださいね。

プロバイダーは何をする人なのか?

TREのエクササイズ方法をお伝えすることはもちろん、振動の広がりや深さを感じてもらえるようお手伝いすることが大きな役割のひとつです。また、安定感のある存在として寄り添うことで、みなさんの心身の解放が安心・安全な感覚で進むようサポートしています。

具体的には、「介入」といって振動中に声かけをして体に意識を向けてもらったり、体に触れて振動がより広がり・流れるようにお手伝いをします。呼吸を促すのもひとつの「介入」です。

グループセッションでは、みなさんの振動の様子を見ながらウロウロ歩いているだけのように感じられるかもしれませんが(笑) 参加者の方々の体の動き、振動の様子、表情の変化(神経的な変化)、内面の様子などを注意深くみながらお声かけをしています。

そして、自分では気づくことのできない「体」がときにあると思います。私自身も経験があるのですが、体に意識を向けながら振動を出していて、全身まんべんなく動いているように感じていても、プロバイダーに見てもらうと胸の辺りがシンと静かになっているよと気づかせてもらえたり、一緒にいてもらえることで、ひとりでは感じきれなかった感情を安心して出せることもあります。

ご自宅でのエクササイズを一生懸命続けているけれど、いつも同じような振動しか出ないという場合は、プロバイダーと一緒に振動することで変化を体験していただけると思います。

また、プロバイダーの介入やサポートだけでなく、グループセッションなど他の参加者の方と一緒に振動することだけでも振動に変化がでることはよくあります。

TREはご自宅でひとりでもできるエクササイズという大きな特徴がありますが、定期的に個人セッション・グループセッションを活用するとことで、TRE ライフをより充実したものにしていくことができると思います。より深い体験をいっしょにつくっていきましょう。

次回「TREのこと、あれこれ連載③ TREが得意とするストレス・トラウマの種類」についてお話したいと思います。

[char no=”10″ char=”floweoflife”]~TREのこと、あれこれ連載目次~

① TREの振動の特徴と有用性

② TREの振動と広がり方、プロバイダーは何をする人?(本記事)

③ TREが役立つトラウマの種類

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目次