体が震えるとは? | TREの知識を深める①

~TREの知識を深める①~
体が震えるとはどういうことでしょうか?
TREは7つのエクササイズで体から自然に湧き出る振動・震えが大きな特徴です。まずは一般的な体の震えについて考察し、その後でTREを説明していきます。

体の震えについて

みなさんもご自身が意図しない場面で体が震えた経験があると思います。一般的に体の震えとはどのようなものでしょうか。

体が震える代表例

  • 寒い
    熱を生み出し、体を温めるための震えです
  • 緊張怖い、驚き
    体が身を守るために交感神経が優位になり、アドレナリンなどが体内で分泌されます。闘う・逃げるなどの運動エネルギーとして消費されなかった余剰分のエネルギーを体外に放出し、自律神経系を整えるための震えといわれています
  • 病気に関連したもの
    パーキンソン病、甲状腺機能亢進症、アルコール中毒、パニック症、不安障害、心的外傷後ストレス障害など、病気に関連する震えです

①と②の震えは、本能的に生命を維持・健全に保つための震えで、体に本来備わっている自己調整機能です。

震えるのは恥ずかしい?

さて、病気と関連する震えを除いて、体が震えるのは本能的なものということですが、みなさんは自分の体が突然震え始めたらどんな感じになりますか?

寒いときは、あまり驚きはしませんよね。寒くてブルブル震えるというのはよくあることです。

でも、緊張して声が震え始めたり、怖くて足がガクガクしてきたら、不安や恐怖に拍車がかかってしまうかもしれません。また、誰かに見られている状況だと恥ずかしさや弱みを見せているような気分になってしまうかもしれません。

今の人間社会では、緊張や怖さから来る震えはネガティブなものとしてとらえられがちです。でも実はこの震えは先にもお伝えしたように、体の自己調整機能のひとつです。

安心できる環境で、信頼できる人にそばにいてもらい、安全な感覚で震えを出すことができれば、次第にその震えは落ち着き、緊張した体と心を緩めることができます。本来は震えの先にリラックスした状態が待っているのです。

「震え」は悪者ではなく、わたしたちの体に備わっている素晴らしい自己回復の能力だということをまずはお伝えしたいと思います。それを本能的に使いこなしているのが動物たちです。

動物たちの震え

クライアントさんから伺った実例ですが、そのクライアントさんはインコを飼っていらっしゃり、たまにお部屋の中で自由に飛び回れるように放してあげるんだそうです。しばらくしたら、インコを捕まえてまたケージの中に入れます。そうすると、毎回必ず体をプルプルプルっと震わせるそうです。

「捕まる」というのは動物にとって(人間にとってもですが)身の危険を感じるので、体は逃げるための準備を瞬時に行います。交感神経系を優位にして、ホルモン分泌などを行い全力で動けるようにします。しかし、逃げるという動きでエネルギーを消費できない場合そのエネルギーが体内に留まってしまうので、それを体の外に出すために震えという動きを使ってストレス状態を脱し回復するのです。

動物はこうしてごく自然にストレスをため込むことなく体の外へ出しているんですね。もしご自宅で動物を飼っていらしたら、観察してみてください。いろいろな場面で震えを出していると思います。

そして、動物にとってもトラウマ体験と呼べるような状況からの回復にも体の震えが登場します。

野生動物が命の危険にさらされたとき、いわゆる「死んだふり」をするという話をご存じの方も多いと思います。肉食動物は生きている獲物しか食べないからと言われていますが、この「死んだふり」をしている動物の体は、万が一のときに痛みを感じないようにするホルモンを分泌したり、呼吸や心拍を必要最低限の生命維持のレベルに落として危機を乗り越えようとします。

そして、その危機を乗り越えて再び回復する過程で出てくるのが体の震えです。下記の動画でその回復の様子をご覧いただけます。

※インパラが嚙みつかれている場面から始まりますので、刺激に弱い方は視聴をご遠慮いただくか、1:35以降からスキップしてご視聴ください。

<時間経過>
0:00 インパラがレオパードに襲われています
1:35 レオパードがバブーンに追い払われます(インパラの命が助かりました)
2:00 インパラは横たわったままです
2:18 お腹が動いて、呼吸が戻ってきたのがわかります
3:13 体の震えが始まります
3:42 目に生気が戻ってきました
4:06 立ち上がり、元気に走って去っていきました

いかがだったでしょうか。このようにじっくり体の震えまで撮影されている動画は少ないと思います。最後に何事もなかったかのように走り去っていくインパラを見て、ほっと胸をなでおろしました。

動物はこのように、本能的な回復機能を用いて過酷な環境でも健やかに生き抜いているんですね。草食動物が不安にかられることなく、いつでも草原を歩き回れるのはこの体に備わっている震えが大きく貢献しているのかもしれません。

TREは震えを引き出すセルフヘルプツール

さて、みなさんは体が震えて回復した経験やストレスリリースに震えを使ったことがありますか?

TREを開発したバーセリ博士が、体の震えに初めて注目したのは、紛争地で現地の人たちと一緒に防空壕に入ったときのことと言われています。子どもも大人も身を寄せ合ってひとつの空間で、爆撃の大きな音に耐え忍んでいたのでしょう。子どもたちは恐怖でブルブル震えているのに対し、大人たちは震えていない。

後日、そのときの状況に居合わせた大人たちに話を聞くと、本当は体を震わせたかったけれど、子どもたちを不安にさせてしまうので我慢をしていたというのです。

そう、わたしたち人間は動物よりも脳が発達しているので、自然に出てくるはずの震えを抑え込んでしまうことができるのです。

博士はこのナチュラルに体に備わっている回復機能としての震えに着目し、これを誰でもいつでもどこでもできるトラウマ・ストレスのセルフヘルプ(自分で自分を助けることができる)ツール、TREとして作り上げていきました。経済的な余裕も、人道的な支援も届きずらい紛争地に住む人々にも取り組みやすい手法です。

TREは7つの簡単なエクササイズをすることで、先の動画に登場したインパラのような震えが出てきます。
過去に体験した出来事でも、当時の状況で闘ったり逃げることのできなかったエネルギーが体内に残っていれば、それを震えとして体外へ放出することが可能です。緊張状態が体から解放されると、自律神経系の働きが穏やかになるので、これを起因としていた体調不良、慢性的な体の痛み、情緒的な問題などが改善されていきます。

また、命に関わるサバイバルな状況だけでなく、強いストレスを感じた出来事、自我意識を傷つけれらた出来事、ショックな出来事、日常のストレスなど幅広い範囲に役立ちます。

動物のように、いつでもどこでも自然に体を震わせることが難しいわたしたちだからこそ、ぜひTREを使ってあなたの体と心の健康に役立てていただけたら嬉しいです。

今回は導入編として体の震えとTREを簡単にお伝えしました。TREにはさらに奥があります。少しづつ深堀していきたいと思いますので続きもお楽しみに。

P.S. わたしの友人の旦那さんは昔から寝る前にベッドの上で動物のようにブルブルブルと体を震わせてから眠りにつくと言っていました。「それは、天然TREだね~!」とわたしは喜びの声を上げました(笑)

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トラウマ・ストレス・緊張解放エクササイズ

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運動が苦手な方でも簡単に、一度学べばご自宅でも続けていただけるエクササイズです。体に備わっている自己治癒力を引き出し、こころとからだの緊張を自律神経系から整えていきます。
慢性的な腰痛、体の痛み、疲労感、日々のストレス、軽度のトラウマ症状などの緩和に役立つとされています。

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