TREの効果が期待できるストレス・トラウマの種類

 

←前回の連載②「TREの振動の広がり方、プロバイダーの役割」

 

~TREのこと、あれこれ連載③~

今回はTREの効果が期待できるストレス・トラウマの種類ついてお話します。

TREはまず、紛争地などで暮らす人々のセルフヘルプのツールとしてつくられたという経緯があります。

通常、被災した方々の心理的な支援にはカウンセラーなどの専門家が入るそうなのですが、それをマンツーマンで提供するには費用もマンパワーも必要です。紛争地でソーシャルワーカーとして働いていたTREを開発したバーセリ博士は、貧しい生活をする人でも、誰でもどこでもできる(セルフヘルプ=自分で自分を助けることができる)手法としてTREを開発しました。

TREは心理ワークではなく体からアプローチして体内に滞ったストレスや緊張を解き、結果、体の不調だけでなくメンタル的なストレスを軽くすることができる、ひとりでもグループでも行うことができる簡単な手法です。

 

このような背景から、TREが最も力を発揮するのは元々健康な暮らしをしていた人が一時的なショックな出来事、一過性の強いストレスによって心身に不調が起きたとき、そこからの回復を助けてくれます。これは、一般的にショックトラウマと呼ばれているものですが、それにとどまらず「トラウマ」と呼ぶほどではないと感じる日常的なストレスを軽減させる効果も期待されます。

 

インドネシアの津波で被災した女性が、津波後に体調不良になった際、TREを3~4回活用したところ、不調が軽減されたという報告も聞いたことがあります。もちろん、個人差がありますので一概には言えませんが、ショックトラウマによる体調不良に関しては数回のTREで改善がみられるケースもあるようです。

 

※日常生活に支障が出るような深刻なトラウマ体験、重度のうつなどの精神疾患、PTSDを発症している方などは、まず医師や心理療法家などの専門家に相談が必要です。

 

ショックトラウマとTRE

一般的にショックトラウマ呼ばれるこのトラウマを受けると、食欲不振、不眠、情緒不安定、慢性疲労、体の痛みなどが症状として出ることが多いようです。また、このトラウマを抱えていると、小さい音にもビクッと過剰に反応したり、特定の場所や環境を避けるという行動などで現れることもあります。

自然災害の被災、事故、ケガや手術、大切な人の突然の死などが要因に挙げられますが、子供のころに通りすがりのおじさんに大きな声で怒鳴られた、犬に追いかけられた、怖いホラー映画を見たなど小さな出来事も含まれるとわたしは考えています。もしかしたら、記憶に残っていないような事もあるかもしれません。

TREの震えによって、筋肉の緊張の緩和、余剰となっているエネルギーの解放、自律神経系を防衛モードから安心モードへ切り替えなどが起きて、心身のストレス・緊張状態のレベルが下がり、体の不調が軽減されると言われています。

暗闇が怖くなくなった体験談

ささいな出来事でも人によってはそれがトラウマとして身体に記憶される可能性があります。

わたしの体験談になりますが、子どもの頃から真っ暗なところが怖くて苦手、夜に鏡を前にすると背後に誰かいるんじゃないかと怖くなる感覚を大人になってもずっと持ち続けていました。日常生活でさほど困ることではないので、暗くて怖いと感じたら明かりをつけ、鏡を見るときは背後をなるべく気にしないように対処してきました。

TREをはじめてしばらく経ったある日、暗闇に対する怖さ・鏡を前にしたときの怖さがいつのまにか消えていることに気がつきました。

実はその怖さが消えて初めて、もしかしたら幼いころに原体験があったのかも?と気がつきました。4才くらいのときに見たホラー映画、ご存じの方もいるかもしれませんが、キョンシー映画が怖くて母にしがみついていた記憶があります。他にも、テレビ番組の怖い話を見た夜に布団をかぶりながら寝た記憶など。大人になってからも感じ続けていた空恐ろしい感覚は幼いころの体験とつながっていたのではないかと思います。

日常のありふれた出来事なので、まるでトラウマとは結びつかないと感じるようなことでしたが、それが身体記憶となって、長い間、影響受けていたことを発見したエピソードになりました。TREの振動中にこのことに関する記憶や感情は特に思い出したわけではないのですが、体が自然と振動と共に過去の小さなトラウマをリリースしてくれたようです。暗い場所や鏡が怖くなくなったことで、無意識レベルで感じてたストレスから解放され、ニュートラルな状態に戻った感覚になりました。

 

日々のストレスとTRE

「トラウマ」とまではいかなくても、みなさんそれぞれ、日々ストレスを大なり小なり感じることは多いと思います。トラウマが身体の中に固まって残っているものだとしたら、ストレスはまだ液状で身体の中でうごめいているようなイメージです。

わたしたちがストレスを感じる要因には周囲の環境や人から受けるもの、自分ではどうすることもできない状況や出来事、自分の中のネガティブな思考・感情の増幅によるものなど様々です。

 

小さなストレスでも長期化することで、肉体的・精神的な疲労を感じるようになります。体は元来、ストレスがあっても回復する力を持っていますので、体がそのストレスに上手く対処できているうちにケアすることが大切です。

TREの振動を出した後は、副交感神経が優位になるといわれているので、眠気を感じたり、リラックス・リフレッシュを感じる方が多いです。つまり、ストレスで興奮状態になっている自律神経系を鎮静化して体を休息モードへ導くことになります。また、TREは継続することで自律神経系のよりよいバランス状態を生み出すので、ストレスに強い身体へと導いていきます。

 

〖実際にTREを体験した方からの感想ランキング〗

第1位:TREの後は、体が軽く感じる、スッキリした、穏やかさを感じる

軽い運動をしたあとのような感覚に近いと思います。家の中で15分の振動を出すだけで心地よい感覚を得られるのでお手軽です。

 

第2位:睡眠の質が向上した、TREをやった日の夜はよく眠れる

これは私自身もよく感じることですが、眠りの質が上がります。ストレス状態にあると、寝つきが悪かったり、眠りが浅いことが多いので、よく眠れるって気持ちいいですよね。

 

第3位:イライラ・怒り・不安・恐れなどを感じにくくなった

こちらはTREを1年以上続けられている方からよく聞かれる声です。TREを続けることで自律神経系が整うので、同じ出来事が起きたとしてもそれに反応する感情のアップダウンが穏やかになるようです。ストレスは実は周囲の出来事を引き金に、自分の中のネガティブな感情や思考がどんどん増幅してストレスの火に油を注いでいることが少なくありません。なので、自律神経系の最適なバランスを取り戻すことで、ストレスの火が小さいうちに消火できるようになるので、結果ストレスレベルを下げることにつながります。

 

発達性トラウマとTRE

ショックトラウマや日々のストレスはその出来事を自覚している方がほとんどだと思いますが、一方で、思い当たるような大きなストレスやトラウマになるような体験はないけれど、なんとなく生きづらい感じがする、よく眠れない、慢性疲労がある、いつも同じような場面で同じ反応(不安、怒り、悲しみ)がでてしまうといったお悩みをお持ちのクライアントさんもいらっしゃいます。

そのような方の中には、ご本人の自覚があるなしに関わらず、幼少期の頃に受けたストレスやトラウマが要因となって心身の不調につながっているというケースも少なくありません。

このようなトラウマは「発達性トラウマ」と呼ばれています。

 

発達性トラウマとは、子どもの成長の過程で起きてくるトラウマのことです。専門的には、幼少期の慢性的なトラウマによって生じる心身の不具合のことを「発達性トラウマ障害」と呼びます。発達性トラウマについては、不適切養育や、虐待が原因になることもありますし、自身の病気、事故、医療処置、家族の病気や事故、自身や家族の長期にわたる入院や、家族に特別な世話を必要とする人がいるなど何らかの理由によって、親からの十分な愛を受けられなかった、などさまざまな原因が考えられます

 

余談ですが、実は、わたしもこの「発達性トラウマ」があったのではないか?ということにTREをはじめてから初めて気がつきました。

普通に生きてきたので自分にはトラウマなんて無関係…と思っていましたが、よくよく考えてみると、よくよく自分の身体反応を観察してみると…これは幼少期のトラウマから来ているものだったのね!?と了解することが多くありました。

 

TREはショックトラウマやストレスに対して短期間で不調からの回復を期待できる(もちろん、個人差はあります!)と先にお伝えしましたが、発達性トラウマについては、わたしの個人的な感覚ではTREを年単位で継続することで少しづつ改善がみられると感じています。

というのも、これもわたしの持論なので的がはずれていたら申し訳ないのですが、発達性トラウマ、特に不適切養育を受けたことによるトラウマは小さなショックトラウマを何度も繰り返し体験しているようなもので、数でかぞえたら、それはもう膨大な回数のショックを体は受けているのではないかと推測します。

それを体験していくうちに、だんだんとショックすら感じない状態になるのでトラウマ化してしまうことになるのですが、その積み重なった小さなショックトラウマを解きほぐしていくには、それなりの時間が必要で、また時間をかけて少しづつ変化していくことで心と体に最小限の負荷で回復の道を歩むことができると感じています。

 

幼少期のトラウマを何とかしよう!とそれをゴールとして意気込んでTREに取り組まれると、なかなか変化を感じづらかったりと少々道が困難に感じるかもしれませんので、日々のストレスケアとしてTREを続けていった先に、気がついたら前より生きやすく、こころと体が軽く感じられる日が来るといった長期的な視点で続けていただけるといいなと思います。何より、TREで15分体を震わせるだけで「気持ちいい、心地いい」を体感することができますから♪

 

※発達性トラウマに関しても、深刻なトラウマ体験のある方、心療内科等へ通院中の方などはTREに取り組む前にまずはプロバイダーにご相談ください。

 

次回の連載予定記事(更新したらリンクがつきます)→「TREのこと、あれこれ連載④ TREを試してみようか考え中の方へ」

 

[char no=”10″ char=”floweoflife”]~TREのこと、あれこれ連載目次~

① TREの振動の特徴と有用性

② TREの振動と広がり方、プロバイダーは何をする人?

③ TREの効果が期待できるストレス・トラウマの種類(本記事)

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