ショックな出来事からの回復 ― 野生動物と人間の違い
野生動物は生命の危機と隣り合わせで生きています。危機が迫った時には素早く動き、敵から逃げる・戦う、時には仮死状態となって身を守ります。そしてその状況が去った後は平常時の身体へと戻ります。草食動物では危機的状況→平常時の状況へ回復する際に体の震えが用いられることが確認されています。
こちらに、レオパードがインパラを襲って、バブーンがレオパードを追い払う動画があります。インパラが襲われたところから動画は始まりますが、その前には全力で逃げていたことでしょう。仮死状態から回復する際の震えにご注目ください。(※インパラの顔が嚙みつかれている場面から始まりますので、刺激に弱い方はご注意ください。)
https://www.youtube.com/watch?v=lAtW7nJUcRA
この震えによって、体内で過剰に分泌されたストレスホルモンなどの解放や筋肉の硬直・弛緩を再調整するなど、身体を平常モードに回復させると考えられています。
人間も同様に、命の危険を感じた事故の後などに体や手足などがプルプルと自然に震えだすことがあります。しかし、理性が発達している人間はこの震えを抑えこんでしまうことがあります。
「震え=弱さ、恥ずかしい」などの社会的な認識であったり、震えを「怖い」と感じる方も多いかもしれません。また、無意識レベルで身体を切り離してショックな出来事を乗り切ろうとするため、体の本能的な回復を妨げてしまうこともあるでしょう。
自然な回復プロセスが妨げられると、慢性的な体の痛み、精神的不安定、睡眠不調、疲労感など身体的な不調へつながります。
人間の震えを導きだす
このように動物が生命の危機のストレスにさらされた状態から回復する際に出す震えと同じメカニズムと考えられているのが、TREの振動です。創設者のバーセリ博士は爆撃などが頻繁に起きる紛争地で働いていた経験の持ち主で、その体験がTREをつくったベースになっています。
TREはいわいるショックトラウマという一時的に強いストレスがかかった状態からの回復を手助けしてくれます。
今の日本では命の危機的状況というのは、頻繁に遭遇するものではないかもしれませんが、一過性の強いストレス状態は日常生活の中でどんな人でも体験する可能性があります。
ショックな出来事一例と体からのサイン
突然のショックな出来事によって引き起こされる強いストレスは自然に回復するプロセスを経なければ長期的な心身の不調(トラウマ)となることがあります。同じ出来事に遭遇したとしても、その場にいた人全員が同じように感じる、同じように体の内部が反応するということではありません。出来事の大小にかかわらず、本人が強いストレスを感じて、身体がそのストレスを体の中にとどめることを選んでしまうことで不調として体からサインがでることがあります。
【出来事の一例】
・自然災害(地震、台風、洪水、大規模火災など)
・交通事故
・大きなケガ
・急な入院・手術
・暴行、暴力
・人間関係の悪化
・身近な人との突然の別れ、死別
など
【強いストレス状態、トラウマ状態の身体からのサイン】
・苛立ちや怒りを感じやすい
・小さいな物音などでビックリする
・眠りの不調
・集中力の低下
・消化不良
・身体の緊張、慢性的な痛み
・慢性疲労
・嫌な記憶を繰り返し思い出す
など
もし、突然のショックな出来事を体験したあとに、上記のような体からのサインが出ているようであれば、体の中で完了されていないストレスがある可能性があります。TREは効果を保証するものではありませんが、思い当たることがあれば、一度 試してみてくださいね。
※上記のような体のサインで日常生活に大きな支障を抱えている方はまず病院の診察などをおすすめします。またPTSD(心的外傷後障害)や重度のうつ病や不安障害などの診断を受けていらっしゃる方、お薬の服用がある方はTREを安全に行えない可能性がありますので、まずはプロバイダーにご相談ください。