昔の嫌な記憶が思い浮かばなくなった ー TRE 緊張解放エクササイズ体験

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TRE国際認定プロバイダー 田尻直子


大学卒業後、「こころとからだのつながり」にアプローチをするセラピーの道へ。メディカルマッサージとしてのオイルマッサージ、フォーカシングなど身体感覚をベースにしたカウンセリング手法を学ぶ。セラピストとして勤務・独立後、出産と育児のため休業。
2016年 TREに出会い、自身の驚くべき変化を体感してTREに魅了される。
2019年 TRE国際認定プロバイダー資格取得
2024年 TREアドバンスプロバイダー資格取得
趣味はピクニック・山登り。クリヤヨガを実践しながら内面磨きにいそしむ日々。二児の母


TRE(トラウマ・緊張解放エクササイズ)で最近 新しく気がついた心身の変化についてシェアしたいと思います。個人的な体験談として読んでいただければと思います。

※TREとは7つのエクササイズをして、人間の身体に本来備わっている自己回復を促す振動を出し、ストレスなど心身の緊張を解放し統合するセルフケアの手法です。

日常的な軽いフラッシュバック

よく思い出してみると10代半ばくらいからでしょうか、わたしは日常的に何かのきっかっけで、小さい頃に叱られたときの記憶や嫌な気持ちになったときの記憶が頭に浮かんでくることがよくありました。

例えば、3歳くらいに初めて行ったディズニーランド。着ぐるみのチップとデールが衝撃的に怖くて出口まで猛ダッシュで逃げた記憶もそのうちのひとつです(記憶の中では走っている自分とその姿を上から見ている視点の2つがあって、なんだか不思議な形で記憶されていますね。もしかしたら軽く解離した状態だったのかな?なんなのか??)。それから、ピアノのレッスンに行きたくなくて母とバトルしてこたつの中に隠れている記憶。中には本当にそれが現実に起きたのかさえよくわからない不快なイメージと体感覚などもありました。他にもまだありますが、 3歳~6歳のときの記憶が特に多いかもしれません。

それらの記憶が現れてくる度にモヤっとする感じがあるので、嫌だなと感じていました。大人になり心のことを学ぶようになってセラピーを受けたり、セルフカウンセリングで対応してきましたが依然として変わらず残っているものもありました。

過去の出来事も「今」体の中にある

ある日、TREを自宅でしているときにワンセットになった体の動作・不快な感覚・イメージがあり、それがパターンとして時折出ていることに気づきました。イメージは例の軽いフラシュバックで出てくる記憶のひとつでした。

このセットが出てきたときは「あ、また出てきたな」と感じながら通常通りに対応していたのですが、その日はちょうどTRE創始者のバーセリー博士のデモンストレーション動画を見たばかりでひらめきました。

もしかしたら、この反応は過去の出来事で身体が自己防衛をしたときの反応ではないか?おそらく、体と心を切り離して凍りついたままになってしまっていたのかも。この状態から抜け出すには「戦うor逃げる」の反応を体にしてもらうことだと思いつきました 。

そして、「戦いたいか?それとも逃げたいか?」を体に問いかけるとまずは「やめてー!」と大きな声を出したい衝動が湧いてきました。

周りには誰もいませんでしたが声を出すのは少し恥ずかしい感じがして、声を出すまねをしながら口を大きく開けて「やめてー!」と音を出さずに大きく息を出しました。

そのあとは、腕や足をバタバタさせたい衝動が湧いてきたので、そのときの感覚のままに体を動かしました。「戦うと逃げる」が入り混じったような反応だったと思います。

ひととおり、湧いてきた衝動にまかせて体を動かすと自然と動きが収まって落ち着いてきました。少し休息して、最後にもう一度軽く振動を出して終わりにしました。

スッキリとした感じが体いっぱいに広がっていました。

この日以降、TREの振動中に軽いフラッシュバックと関連して繰り返し出てくるものには、積極的にこの手法を試してみました。いくつかありましたが、驚いたことにそのアクションを起こしたことで、それ以降同じパターンが振動中に出ることがなくなり、日常でも記憶が浮かんでくることがなくなりました。記憶として思い出すことはできますが、以前のように嫌な気持ちや不快感を伴って感じるものではなくなりました。

そして、このブログ記事を書いていて気がついて驚いたのは、たくさんあった小さい頃の嫌な記憶の蘇りがほとんどなくなっているということ!全部ないとは言い切れないかもしれませんが、ここ最近はひとつも思い当たらない感じです。すべての記憶に「戦う・逃げる」反応を出したわけではないので、おそらく日々のTREの振動で自然と解放されていったのだと思います。意識にのぼっていなかった変化です。

人間の自己防衛戦略と発達した脳

人間の身体は、生命の危機を感じると「戦うか・逃げるか」もしくは「凍りつき」の反応をします。

「戦うか・逃げるか」は動いて自己防衛をする手段です。戦いや逃げるために身体は大量のアドレナリンを出して筋肉をすばやく動かせるようにするなどの準備を瞬時にします。しかし、その状況でもしも「戦う・逃げる」の動作をすることができないと、その準備をしたエネルギーが放出されずに身体の中に滞っていまします。

また「凍りつき」は身体を硬直させて麻痺させたり、体と心を切り離して感じないようにすることで自己防衛します。体内では「戦うか・逃げるか」の反応を出している一方で、動きをシャットダウンしていわいる仮死状態になって痛みや衝撃を感じないようにすることが起きているので、同様に過剰になったエネルギーが放出されないままに身体に滞ってしまうと、心身に不具合がでてきます。

野生動物であれば体をブルブルっと震わせてエネルギーの解放し、凍りつきを解くことを自然に行っていますが、大脳新皮質が発達した人間はその本能的な解放がしづらいと言われています。

わたしの軽いフラッシュバックのような記憶たちは、過去に消化されなかったからだの反応が身体に閉じ込められたままになって残像のように映し出されたものだと今のところわたしは理解しています。子どもは言語がまだ発達していないので衝撃的に感じたことなどをそのまま身体に記憶してしまうことが多くあるそうで、幼い頃の記憶がほんどだということも納得がいきます。

TREの特徴と注意点

今回はわたしの体験談としてお話ししましたが、TREはセラピーではなくセルフケアのツールとして開発・デザインされています。

もしかしたら、この記事を読んでご自身がお悩みのフラッシュバックも解決できるかもと感じた方もいるかもしれませんが、TREはセラピー(治療法)ではないので「このフラッシュバックをどうにかしたい」という具合にピンポイントで問題を設定して行うことが残念ながらできません。

TREの振動を日々のケアとして使っていて、たまたま振動中に過去の出来事とリンクした記憶や体感覚が出てきて、それに対応していくという流れになります。それが浮上してくるのは、身体がそのことを手放したいタイミングで出てくるそうなので、それがいつどのタイミングになるか、もしくは浮上することがあるかないかは体次第ということになります。

ただ、わたしがTREを続けてきて思うのは、続けることで次第に体が整ってくるということです。また気づくか気づかないかに関係なく、身体は不調があれば回復へと方向性をもって働いているんだと思うと自然の叡智ってすごいですね。

TREは基本的に健康な方であれば自宅でも簡単に行えるものですが、脳神経系にも作用するパワフルさがありますので、深刻なトラウマ体験や重度のフラッシュバックがある場合は、専門分野のプロバイダーの下でセッションを受けるか、まずはTREの前に医療的なものを受けていただいた方が良い場合があります。ご質問などありましたら問合せフォームよりお気軽にご連絡ください。

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