ケガと病院での治療と体の震え|TRE 緊張解放エクササイズ

先日6歳の息子がおでこを切るケガをしました。傷口はそれほど大きくなかったのですが、出血量が多かったので病院へ。

傷が深かったようで、医療用ホチキスで1か所傷口を止めてもらいました。

このときは、先生の判断も素早く、息子も一体何が起こるのかわからないままパチンっ。先生も息子に優しく対応してくれて、泣く間もありませんでした。

痛みもあまりなかったようで、その後はふつうに元気に過ごして傷がふさがるまで1週間くらい。そのあと針を抜きにまた病院へ行きました。

 

逃げる、捕まる、体の震え

さて、針を抜きに病院へ来たはいいものの、もうこのときは自分の身に何が起こるかわかっている息子。

「針を抜く= 痛い = 嫌だー!」

順番を待っている間もソワソワしながら、ヤダヤダつぶやいていました。

そして、いよいよ診療室へ… お医者さんを見たとたんに診療室の椅子のまわりをグルグル走って逃げ始めました!

看護師さんに促されて、椅子に座ったわたしの膝の上へ、抱っこをした形で捕獲。

まだ逃げようとしている息子は体をブンブン振って「ヤダヤダヤダ~」とかなんとか叫んでいます。そして、最終的に先生に頭をガッと押えられてしまいました。(お医者さんに息子が落ち着くのを待っている時間はないですね…)

そしたら、息子の体、全身がプルプルプルプル~と震え始めました。

わたしは息子の手と体をギューとしながら「大丈夫だよ~」と声をかけつつ、一方、心の中でおぉ、これが天然の震えかぁと感心していました。(その詳しい話は後ほど)

 

先生が頭を押えて、針が抜かれるまで、30秒もかかっていないかもしれません。目にも止まらぬ速さでめちゃくちゃ素早かったです。

「はい、おしまい~」と言われて わたしは息子を抱っこしたまま診察室を後にしました。

 

体の震えはほぼ止まっていましたが、泣いていたので気持ちが高ぶった状態です。

待合室のいすに座って、背中をさすりながら落ち着くまで待ちました。

(幼い子どもの場合は、感情(精神的な揺れ)を調整する機能が未熟なため、一緒に気持ちを落ち着けることで神経的な平静を自己調整する方法を学んでいくそうです。一緒にやってもらえる人がいないと、気持ちの落ち着け方がわからないままなので情緒不安定な傾向になるかもしれません。←わたし自身がそうでした。苦笑)

無事に正気に戻った息子は、そのまま病院から小学校へ元気に授業を受けに向かいました。

 

体の震えの正体は

逃げて、捕まって、出てきた体の震え。これは動物の本能的な体を自己調整・回復へ導く震えだとわたしは解釈しました。

息子を抱っこしながら、このリアルタイムのリアルな震えを一緒に体感して、思わず息子の体の振動に感心していました。

 

体の反応を説明するとおおまかにはこのような感じだと思います。

① 針を抜かれる = 怖い = 息子の体は「危機が迫っている!」と反応します(偏桃体がアラームを出します)

② 危機からの逃れるために、逃げます(交感神経が優位になり、アドレナリンなどが分泌されます)

③ 捕まってしましました、もう逃げられません!(体は逃げるための力(エネルギー)を出し続けていますが、体を動かせないのでそのエネルギーが放出できず、体内にとどまってしまいます。)

④ 体が震えはじめました(逃げる動きとして放出できないエネルギーが、「震え」として外に出ています)

⑤ 処置が終わりました(危機は去りました)でも、まだ感情は高ぶったままです(交感神経はまだ優位のまま、安全になったかどうか、体・脳は神経ネットワークを使って情報を集めます)

⑥ 抱っこをされて、少しずつ安心をとり戻しました(平静な人と触れ合うことで、より神経的に落ち着きを取り戻すことができます。体が安心感を感じて、脳が危機的アラームを止めて、通常通りの心身に戻りました)

いつもTREで説明している身体が危機を感じたときに起きる、体の震えによる調整・回復プロセスです。

体の自然な回復力を妨げてしまうことも

このように、自然に湧いてきた「震え」を出しきり、神経的に興奮が鎮静化して安心して落ち着くことができれば、体の緊急時に出すストレスホルモンの作用が適切に処理され、この体験がトラウマ化してしまうことを防ぐことができます。

一方で、特に大人の場合は体が震えることに困惑、恥ずかしさ、恐怖を感じたり、事務的な処理を優先させて体の反応を抑え込んでしまうことが多いと思います。いわゆる理性が働くんですね。そうすると、この一連の調整・回復プロセスが中途半端のままで、それがストレスとして体内に残ってしまう可能性があります。

また、息子の場合ケガの治療から「逃げる」という反応で自己防衛ができると体は判断しましたが、時に究極に生命が脅かされると体が感じる状況では体が動かなくなる「凍りつき」が起こることもありますし、繰り返されるストレスフルな環境で体の本来の反応が機能しなくなるなど、さまざまな要因によって、体の調整・回復プロセスが妨げてられてしまうことがあると考えられます。

もちろん、体験と体の反応の関係は個人差が大きく、自然に回復することも大いにあり得るのですが、もし体の不調(原因がわからない体の痛み、胃腸の問題、不眠、情緒不安定、同じような出来事に体が過剰に反応するまたは避ける など)が出てきた場合は、その出来事から継続したストレスがからだにかかっているサインとして捉えることができると思います。

全てはほぼ無意識に行われる体の反応なので、わたしたちは体に不調を感じて初めて何かあるのかな?と自分の体に意識が向くことが多いと思います。

 

TREができること

TREはこのような過去に体験した出来事から継続して体内にとどまっている、ストレスやトラウマを震え・振動・動きなどによって解放&統合していきます。TREは心理セラピーではないので特定の過去の出来事、記憶や感情を掘り下げることはせず、体が準備ができているものから、緊張やストレスを解放し、神経系を整えていきます。何年も時間をかけて解放されていくようなこともあるので、日常のセルフケアのひとつとして気長に活用していくことも大切です。体に何か不調を感じていて少しでも当てはまることがあるかな?と感じた際は、TREを試してみてくださいね。まずは、からだの声に耳を澄ませてみてください。

 

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