魔の誕生日から、セルフラブな誕生日へ


この記事を書いた人

たじりなおこ

TRE(トラウマ&ストレス解放エクササイズ)で心身のバランスが整った経験から「みなさんへTREを届けたい!」という想いで活動中。2019年国際認定プロバイダー取得。TREプロバイダー以前はセラピストとして約7年間、解剖学に基づくメディカルマッサージ、フォーカシングをベースにしたカウンセリングを提供。2児の母。TREで健やかな毎日を♡ 
▶プロフィール詳細


誕生日はハッピーな日?

私事ですが、10月は誕生月です。
お誕生日といえば、祝福のメッセージをもらえる幸せな1日ですよね。

ところが、わたしにとって長い間、お誕生日は魔の1日でした…

子どもの頃は、プレゼントをもらえてケーキも食べられるし、お友だちと誕生日会をやったりして楽しい思い出もたくさんあるのですが、

大人になってから、なぜか誕生日というと心がザワザワして落ち着かなくなり、当時お付き合いをしていた彼氏に今年はどんなお祝いをしてくれるのか?と問い詰めたり(嫌な奴です。笑)

思い通りの誕生日にならないと、不機嫌になったりして(本当に厄介な奴です。笑)、自分でもなんか変だなと思い始めたのが10年くらい前でしょうか。

そして、年を重ねるごとに増す違和感。ついに本腰を入れて向き合い始め(でも誕生日以外はこの感覚が出てこないのでチャンスは1年に1回だけ)、つい3~4年前にようやく謎が解けました。なんでこんなに誕生日になると心がザワついてしょうがないのか。

誕生日の緊張感

自己肯定感がとても低かったわたしは、心の奥の深~いところで「自分には存在価値がない」「誰もわたしの存在を認めてくれない」と感じて生きてきました。(いろいろなセラピーを受けたりして気づいたことです)

誕生日の心のザワザワはその自己存在感に関わるものでした。

1年365日ありますよね。その中で唯一、自分の存在を認められていると感じられる日が誕生日だったんです。家族や友達みんながわたしのことを笑顔でお祝いしてくれて、存在が認めてもらえているような感覚です。1年で1回だけ。

実際はそんなことないんですよ、至れり尽くせりで育ってきたんです。なのに、わたしの脳と体は、そんな呪いのような檻に閉じ込められて深い部分でビクビクしながら生きていました。

そして、誕生日ともなれば、普段はあまり意識しない自己存在についての緊張感がグングン高まります。「お祝いをしてもらえる=存在を認めてもらえている」そんな図式が出来上がっていますから、誕生日にお祝いをしてもらえないという状況が出ようものなら、「存在の死」の恐怖を感じるのです。

自我は崩壊寸前の感覚です。ギリギリで立っている狭い塔の上で、足元が崩れ落ちて、真っ暗闇に落ちていくような感覚です。なので、必死に今年のお祝いはどうしてくれるのかと問い詰めて存在感覚が守れるように自己防衛の策を講じていたんですね。

(言葉で説明しているのではっきりした表現になっていますが、実際はもっと言葉にならない雲をつかむような感覚だったり、整合性がとれないバランスの欠いた感覚であったりしました。)

その気づきを得てから、誕生日がくる度に過去に感じたであろう怖さ、悲しみの気持ちと感覚を受けとめ、断片化してしまっていた記憶をつなげていくような作業を繰り返しました。去年あたりから、誕生日の心のザワザワは出なかったと記憶していますが、年に1度しかない誕生日です。自分からネガティブ反応が出るのか出ないのか、ある意味ドキドキします。

で、今年の誕生日。

なんと夫が発熱でダウンして、予約していたレストランのディナーもキャンセル。お祝いをするような感じの日でなくなりましたよ。絶望的な気持ちが湧いてきたのも束の間。

わたしはこれはもう、神様からの極上のプレゼントだと受け取りました。

今年は周りからもらえるお祝いはない。このチャンスに自分が喜ぶ誕生日を自分にプレゼントしよう!と新しい静かなワクワクが湧いてきたのです。

数年前だったら「お祝いがない=存在の死の恐怖」と感じていましたから、気が狂うほどに、悲しくなったり、怒ったりしていたかもしれないこの状況。今年は機が熟したかのように、起きた出来事をスルッと受けとめて(デイナ―のキャンセルはちょっぴり残念でしたが)切り替えることができました。

お気に入りのフランボワーズのケーキを娘と買いに行って、おいしい割烹料理屋さんの釜めしをテイクアウトして、小さな花のブーケを買って。子どもたちとシンプルだけどあったかいお誕生日を過ごすことができました。

もう、だれかれにお祝いをもらえなくても大丈夫。お誕生日に自己存在感の心のザワザワがもう出てくることはないだろうなと静かに深いところで確信した1日になりました。


こんな風に、なぜかわからないけど心がザザワする特定の日や場所。あなたにはありますか?

大抵の場合、それは自律神経系の反応です。トラウマやストレスが体に記録されたままになっていると、似たような状況で繰り返し同じような身体感覚(ザワザワ、冷たい感じ、落ち着かないなど)や感情を呼び起こします。

認知の部分では、なぜ自分がそのように感じるのか、同じような身体感覚や感情が出てくるのか説明するのは難しいと思います。ただ、体はシンプルに未完了のトラウマサイクルを完了させようとシグナルを出してくれているんですね。

「なぜか」はわからくても、そのループから抜け出すことは可能です。それにお役に立つのがストレス・トラウマ反応を体から解放するTREです。TREを地道に続けていたので、わたしはその「魔の誕生日」の身体反応を変えることができたと感じますし、毎日続けている瞑想も大変役に立ちました。

今日のお話がみなさんの何かヒントになればうれしいです。

目次