TREとは
About TRE
TRE とはTension(緊張・ストレス) & Trauma(トラウマ) Releasing Exercise(解放エクササイズ)の略で、ストレスやトラウマによる心身の反応を軽減するために開発されたエクササイズです。健康な方であれば、ご自宅でおひとりで実践できるセルフヘルプのツールとしてデザインされています。
TREの特徴である体の震えは7つの簡単なエクササイズによって引き出されます。この震えは、身体に本来備わっている回復機能のひとつで、体内に記憶された緊張やストレスを解放し、慢性的な体の痛みの緩和や自律神経系を安定させる働きをします。
TREは現在約60ヶ国で提供され、紛争地や自然災害の現場など大きなトラウマ体験者のみならず、日常の小さなトラウマ・ストレスケアとしても実績をあげています。
TREの特徴
TREのエクササイズはとても簡単で、体を動かせる方であれば年齢を問わず誰でもできるものです。エクササイズで筋肉に軽い負荷をかけ、体から自然に湧き出る震えを引き出します。
安心・安全な環境でこの振動が活性化されることで、体はバランスの取れた状態を取り戻していきます。
セルフヘルプのツールとしてデザインされているので、健康な方であれば一度学んだ後はご自宅でひとりで必要なときに行うことができます。
TREの振動は心地さ・穏やかさを感じられるもので、終わった後はリラックスしたり、スッキリすると感じられることが一般的です。
TREは心理カウンセリングではないので、過去の辛い出来事やストレス体験を話す必要はありません。
TREの振動は生命維持活動を支えている脳幹と関連していると考えられており、脳神経系(自律神経系)からの改善が期待できるアプローチです。
TREの有用性
世界約60ヶ国で提供されている実績から下記のような有用性が認められています。特に急性ストレス・ショックトラウマ(単回性トラウマ)からの回復に役立つとされています。また、TREを継続して取り組むことにより日々のストレスが軽減される、自律神経系が整うといった変化を実感される方も多いです。
- 急性ストレス後の体調不良の改善
- 慢性的な体の痛み・疲れの改善
- 胃腸の不調の改善
- 呼吸がしやすくなる
- 睡眠の質が良くなる
- 柔軟性の向上
- からだの感覚を感じられるようになる
- 突発的な動悸、冷や汗の改善
- 不安・焦り・緊張の緩和
- 嫌な記憶を思い出す頻度の低下
- イライラや落ち込みの改善
- 情緒が安定する
- 落ち着きや穏やかさの向上
- 人間関係が良好になる
- TREの有用性の感じ方には個人差があり、効果を保証するものではありません。
- TREは疾患を治療するための医療行為ではなく、診断や治療にとって代わるものではありません。ご自身のセルフケアの手法として自己責任でTREに取り組んでいただきますようお願い致します。
開発者デイビッド・バーセリ博士とTRE
TREは米国のデイヴィット・バーセリ博士によって開発されました。博士は15年に渡って中近東の紛争地に住み、ソーシャルワーカーとして人々を助けてきました。また、帰国後にPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症し、トラウマからくる突発的な強い怒りなどの症状を身をもって体験、克服した経験者でもあります。
約30年前にTREを開発し、以来、トラウマを抱えた人々にカウンセリングを行うとともに、アメリカの軍隊、国際的な救助団体、各国政府や非政府団体など、トラウマに満ちた地域で働く職員を抱えた団体でトラウマの予防と克服のための指導を行っています。2011年には、文化宗教の壁を越えた交流に貢献した人文つに贈られるテンプルトン賞(文化宗教分野のノーベル賞といわれる)にノミネート。
TREを指導するプロバイダー育成にも力を入れており、現在世界約60か国でプロバイダーが育ち、自然災害の被災地など大きなトラウマを抱えた人にとどまらず、日常的にストレスを抱えて生活している多くの人々を助けるメソッドになっています。プロバイダーには医師、心理臨床家、カウンセラー、ソーシャルワーカー、カイロプラクター、理学療法士などの専門家も多く、各分野との相乗効果がもたらされています。
TREの医学的な証明は脳科学、神経学的なアプローチからアリゾナ大学や専門家と協力して日々研究が進められています。
(最新の調査研究成果はFTAの英語サイトでご覧いただけますhttps://traumaprevention.com/research/)
参考文献:デイビッド・バーセリ著『人生を変えるトラウマ解放エクササイズ』PHP研究所
TREの組織
アメリカに本部があり非営利団体「TRE® FOR ALL」として活動しています。TREプロバイダーを育成するTRE認定トレーナーが世界各地におり、団体が組織されている国や地域もあります。
日本は「TFA Japan」としてプロバイダーの技術向上やTREを広める活動をしています。お近くでプロバイダーをお探しの方は公式サイトをご覧ください。
TRE “7つのエクササイズ”
通常、TREのエクササイズはとても安全で簡単なものです。筋肉の緊張緩和やストレスを下げることを目的とするのであればおひとりで取り組むことができます。もし、軽度のトラウマ症状の緩和を目的としているのであれば、ひとりで行う前に必ずTREプロバイダーにご相談ください。 プロバイダーがどのようにTREに取り組むとよいか助けになる提案をしてくれます。また、深刻なトラウマ症状をお持ちの場合はより安全に取り組んでいただけるよう、医師や心理士などを専門にするプロバイダーにご相談ください。
TRE公式エクササイズの動画です。日本語は字幕メニュー”自動翻訳”からお選びいただきご参考程度にご覧ください。
初めての方は、まずプロバイダーの元で実践されることをおすすめします
振動の様子
TREの振動の様子を短めに撮影したものです。通常15分程度の振動を出し、多くても週3~4回を目安に行います。初めてみると奇妙な動きに見えるかもしれませんが、意図的に動かしているわけではなく、からだがひとりでに動いています。
振動・動きの大小は個人差があり、始めて日が浅い方は脚だけの振動や微細な震えになることが多いです。継続することで振動が全身に行き渡り、震えや振動のパターンのバリエーションが増えていきます。振動中も心地よさを感じられ、終わった後はスッキリ感を味わうことができます。
関連動画・本
よくあるご質問
セルフエクササイズに関する質問
Q. TREの頻度はどれくらいが適切ですか?
A. TREの振動は1回15分以内(振動中の休憩含む)、多くても1週間に3~4回程度が目安です。人によって振動時間や頻度を下げた方が適切な場合がありますので、何か気になることがありましたらお気軽にご相談ください。
Q. 振動が自分で出しているものなのか、自然に出ているものなのか区別がつきません
A. TREを始めてまもなくの方からよくあるご質問です。経験が浅いうちはエクササイズ後の筋肉疲労の震えとTREの震えが混ざることがあります。しかし、しばらく振動が安定してくるとTREの振動のみに移り変わっていき、負荷をかけていない(筋肉疲労していない)筋肉の部位まで振動が移動していきます。
無意識にコントロールして震えているのではないか?と疑問に持つ方も多いですが、コントロールしている振動は筋肉が緊張していることが多いです。TREの振動は筋肉がリラックスしても続きますので試しに緊張を解くようにしてみると違いが感じられるかもしれません。
いずれにせよ、5回、10回と続けていくうちに身体も思考もからだがひとりでに震えている・動いているという状態に慣れてきますので、このような疑問は少なくなっていくことが多いです。
Q. その時々の体調で、少し疲れがでることがあります。これにはどう対応すればいいですか?
A. エクササイズでは、疲れを感じるのがレベル10として、そのうちレベル7くらいで終えるのが適切です。もし、エクササイズの途中からしっかり振動が出てくるようであれば、床に寝て振動を始めてもかまいません。
振動後に軽い運動をした後のような疲労感やだるさ、眠気を感じることはよくありますが、極端な疲労感がある場合はご自身の判断で続けず、プロバイダーにご相談ください。
Q.自宅のエクササイズで振動中に感情があふれてくることがありました。何か知っておくといいことはありますか?
A.感情があふれてきた時は、まず足の裏・背中・安心を感じられる体の部分に意識を向けましょう。脚をゆっくり伸ばして振動をスローダウンさせます。必要があれば振動を一度止めてもかまいません。少し深い呼吸をしながらあふれてきた感情が落ち着くのを待ちましょう。
気分が落ち着いて再び振動が出せそうであれば、また振動を再開してください。もし、気分が安定していないようでしたら終了しましょう。起き上がってお水を飲んだり、外の景色を眺めたりして休憩する時間をとってください。
もしおひとりで安心・安全な感覚でTREを行えないと感じた場合はプロバイダーの元でおこなうようにしてください。